タバコをやめようかな……とも思うけど、「禁煙なんていつでもできる」と楽観していませんか? 現在、タバコを吸っている人のうち、およそ3人に1人が「タバコをやめたい」と思っています。ところが、タバコを吸う人の割合は、ここ数年横ばいです。
つまり、タバコをやめたいとは思っていても、禁煙に成功している人は多くないということです。外国の調査でも、禁煙に挑戦して6ヶ月以上続いた人は、わずか1割ほどです。
禁煙を続けるのは、あなたが思っている以上に難しいのです。
では、「今度こそ絶対にタバコをやめる!」と決意しながら、なぜついまた吸ってしまうのでしょうか? 自分の意志が弱いからでしょうか? いいえ、実はニコチンのもつ依存性が原因なのです。
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どのようにしてニコチン依存症になるのでしょうか。
タバコを吸うと、ニコチンは脳にあるニコチン受容体に結合します。すると、快感を生じさせる物質(ドパミン)が大量に放出され、喫煙者は快感を味わうことができます。これが、「タバコを吸うと落ち着く」「ホッとする」といった効用が得られるしくみです。
しかし、30分もすると体内のニコチンが切れて、反対にイライラする、落ち着かないなどの離脱症状(禁断症状)があらわれます。そして、その離脱症状を解消するために、またタバコを吸うようになり、そうしてニコチン依存症になっていきます。
こうなると、タバコをやめたいと思っても、やめるのが困難になります。ニコチン依存症から抜け出すのは、ヘロインやコカインをやめるのと同じくらい難しいといわれています。禁煙が難しいのは、ニコチン依存症によるものですから、自分の意志の力だけで乗り越えられないのも当然といえるでしょう。
日本の喫煙所の割合
たばこ産業の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は27.8%でした。
これは、昭和40年以降のピーク時(昭和41年)の 83.7%と比較すると、約50年間で56ポイント減少したことになります。 年代別にみると、急激な喫煙率の減少傾向が見られる60歳以上は21.3%ですが、30歳代から50歳代はまだ35%前後を推移しており、一番高い年代は40歳代で35.5%でした。
成人男性の喫煙率は、減少し続けていますが、諸外国と比べると、未だ高い状況にあり、約1400万人が喫煙していると推定されます。
これに対し、成人女性の平均喫煙率は8.7%であり、ピーク時(昭和41年)より漸減しているものの、ほぼ横ばいといった状況です。 喫煙率が一番高い年代は40歳代の13.6%、最低は60歳以上の5.4%です。
これでも、皆様たばこを吸いますか?
「長年タバコを吸っているから、今さら禁煙しても変わらない」と誤解していませんか?そんなことはありません。タバコをやめた時点から、さまざまな効果を実感できるかもしれません。
たとえば、タバコをやめた直後から、家族や周囲の人が受動喫煙を受けるリスクが大きく下がります。
また、衣服や部屋、車にタバコのにおいがつくこともなくなり、周囲が不快に感じることもなくなります。タバコをやめて数日後には、味覚や嗅覚が鋭敏になり、食べ物をおいしく感じるようになることが報告されています。
そのほかにも、目覚めがさわやかになったり、肌の調子がよくなる、口臭がなくなるなど、日常生活の中で効果を実感できるといわれています。
10年を経過すると、がんのリスクも低下していくようです。
10~15年経つと、咽頭がんのリスクが、タバコを吸う人と比べて60%も低下したという報告があります。また、10~19年で、肺がんのリスクが、タバコを吸う人と比べて70%も低下したという報告があります。
さらに、20年で口腔がんのリスクが、タバコを吸わない人と同レベルになることが期待されます。
このように、禁煙の生活が長くなればなるほど、タバコを吸わない人と同じ健康状態に近づきます。禁煙が遅いということはありません。喫煙生活を見直してみましょう。
さー皆さんたばこを今すぐやめ健康で幸せな日常を手に入れましょう。