人間関係で人に気を使い過ぎて疲れ切ってしまった時についての話です。そんな私でしたが、当時出会った『アドラー心理学』という心理学が私を変えてくれました。
アドラー心理学からわかる他人との付き合い方
それまでも心理学の本や情報は結構仕入れていたのですが、この『アドラー心理学』は一味違いました。
性格上人に相談できなかった私は、解決策を探しに毎週本屋に通っていました。しかし、どの本を読んでも試してみても今一つピンとこないのです。
そんな時にネットショップを見ているとランキング1位の本があり、タイトルは『嫌われる勇気』というものでした。
元々人に目を気にしすぎる傾向がある私にはこのタイトルが物凄く刺さりました。実際に読んでみると、目から鱗な情報ばかりでした。書かれていることのほとんどは当たり前で目新しいものではないのですが、そういったことを掘り下げて考えるというのが新鮮だったのです。
『嫌われる勇気』を何度も読み返し、実際の人間関係で実践している内に、徐々に気持ちが外に向いてきたのです。それまでの自分が如何に「自分が自分が」という態度で生きていたのかよく分かりました。
今だから言えますが、『嫌われる勇気』に出会う前までは、『他人を思いのままに動かす』や『自分を一瞬で素敵に見せる方法』という感じのうわべばかりの本を選んでいました。変わるということはけして”うわべだけの努力でどうにかなるものではない”ということも知れたキッカケだったと思います。
役立つ情報はたくさんあるのですが、すべては説明しきれないのと、ものによっては相当ややこしい説明になってしまうので一つに絞らせてもらいます。
『嫌われる勇気』で役に立った知識の一つは『課題の分離』という考え方です。
課題の分離とは、その名の通り自分と他人の課題を分離することです。
課題の分離とは
夫婦を例に出して話してみます。
(課題の分離ができていない例)
夫が夜分遅くに残業で疲れて帰ってきました。帰ってくるや否や妻に「ただいま」も言わずに、「おい、メシ」と言いつけます。妻はその態度に怒り「わたしはあなたの奴隷じゃない」と返し、夫は「疲れている時くらい優しくしろ」と怒鳴り返します。そんな夫に妻は「あなたのせいで私は毎日怒らなければならない」とさらに怒鳴り返します。
この場合、疲れていることをどうにかしなければならないのは夫の課題で、夫の態度に対する怒りの処理は妻の課題です。
こういう場合売り言葉に買い言葉でヒートアップすることがほとんではないでしょうか。
しかし課題の分離ができている夫婦であれば、こういう事態に落ちることはないです。お互いが自立して問題に対処できるので、友好的な空気ができていきます。
自分がどうにかしなければならない問題を他人に処理させようとすることが、人間関係のトラブルの始まりなのです。
少し冷たい印象を受けるかもしれませんが、むしろ逆です。人間がお互いに支え合って協力的に生きていくためには、精神的に自立していくことがなによりも重要です。
余談ですが、『課題の分離』は効果的な反面、勘違いしている人を結構見かけます。これはあくまで『他人と協力するため』に自立を促す考え方であって、目的ではなく手段なのです。『課題の分離』をゴールだと考えている人はきっとただ冷たく見えてしまうでしょう。
前項が長くなりすぎてしまいましたが、かくいう私もかの夫婦のように他人に自分の課題を擦り付けていました。
チャンスは自分次第
「あいつがいるから自分にチャンスがこない」「誰も認めてくれないから自信が持てない」そうやって自分から周囲を憎んで距離をとっていました。しかし、チャンスも自信も他人がどうするかとは関係ありません。
チャンスは巡って来ても掴むのは自分だし、自信も自分がどうするかで結果的につくものです。
『課題の分離』をすることで、気を使い過ぎることも少しずつ減っていきました。当然と言えば当然ですが、そのお陰で人間関係の中で気疲れをすることも軽減していったのです。
もちろんアドラー心理学には『課題の分離』以外にもたくさん概念があり、もっといえば他の本や考え方も組み合わせているので、これだけで変化したわけではないです。
そして何よりも一番驚いたのが、人に相談できるようになったことでした。『課題の分離』がどう相談できるにつながるかと言えば、理由は簡単で”相談された相手が自分をどう思うのか気にしなくなった”ことです。不思議に思うかもしれませんが、相手の気持ちを気遣うことと、相手の気持ちを気にすることは似て非なるものなのです。
相手をよく見て気遣いつつも、困っていることがあったら気にせず相談できるようになりました。
人間関係に疲れた人
これはシンプルに昔の私と同じように”人間関係で気疲れをしてしまっている人”に有用な方法だと思います。
また子供から大人になる過渡期の人たちには、特に有用だと思います。理由は、”みんな一緒”という集団が当たり前だった小学生時代から個が重視され始める時期になると、不安定になりやすいからです。
もちろん大人にも有用です。というより人間であれば有用という風にいってしまっても過言ではありません。
自分の課題を自分で解決する人というのは、どんな共同体に属していても、安定した存在感のある人です。つかず離れず、協力ができる人に『課題の分離』が出来ない人を見たことがありません。
なので、ここでの結論は『人間関係で悩む全ての人』ということになります。